建ぺい率・容積率の緩和と建築確認の改正について
建築基準法の建ぺい率緩和、容積率緩和および用途変更の際の建築確認の改正等に関する建築基準法の一部を改正する法律が平成30年6月7日交付され、1年以内で施行されることになりました。そのうち特に重要なものについてのお知らせです。
1. 建ぺい率の緩和について
現在は、防火地域で耐火建築物を建築する場合は、商業地域のように都市計画で定められた建ぺい率が8割のときは建ぺい率の制限がなくなります、すなわち建ぺい率の限度が10割となります(2割加算)。都市計画で定められた建ぺい率が7割以下のときは建ぺい率の限度が1割加算されることになっております。
これに関して次のような改正が行われました。
(1) 延焼防止性能を有する建築物の建ぺい率の緩和
① 次の建築物の場合も、都市計画で定められた建ぺい率の限度に1割加算されます(上記の2割加算の場合は除かれます)。
イ. 防火地域内で耐火建築物と同等以上の延焼防止性能がある建築物
ロ. 準防火地域内で耐火建築物、準耐火建築物等
② 都市計画で建ぺい率8割と定められた地域において、防火地域内の耐火建築物と同等以上の延焼防止性能がある建築物も、建ぺい率の制限がなくなります(建ぺい率の限度が10割になります)。
2. 容積率の緩和について
容積率の計算において、現在、共同住宅の共用の廊下及び階段部分の床面積は、延べ面積に算入されませんが、今回の改正で、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものの共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積も、容積率算定の基礎となる延べ面積に算入されないこととなりました。
3. 用途変更と建築確認の改正について
空家対策の一環といたしまして、シェアハウス等に空家の用途を変更しやすくするため、共同住宅・寄宿舎、ホテル・旅館、飲食店、物品販売店舗等々のいわゆる特殊建築物の用途変更の場合に、当該用途部分の床面積の合計が、従来は100㎡を超えると建築確認が必要でしたが、200㎡以下は建築確認を受けなくてもよいことになりました。
又、これは、用途変更の場合の建築確認の場合だけでなく、そもそも特殊建築物について建築確認を受けなければならない場合の建築基準法6条1項関係の改正です。従いまして、特殊建築物は、現在当該部分の床面積が100㎡を超えると建築確認を受けなければなりませんが、200㎡以下は建築確認が不要になります。
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