田園住居地域 田園調布ではありません
都市計画法及び建築基準法の住居系用途地域に田園住居地域が追加され、用途地域が1つ増え13になりました。今年の宅地建物取引士資格試験問題の[問16]と[問19]で出題されました。直前講習の基本重要問題と模擬試験でやったのがずばり出題されました。
1. 早速出題されました。
[問16]の肢の1
田園住居地域内の農地の区域内において、土地の形質変更を行おうとする者は、一定の場合を除き、市町村長の許可を受けなければならない。
[問19]の肢の1
田園住居地域内において、建築物の高さは、一定の場合を除き、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
[問16]の肢の1
○正しい。一定の場合を除きとは、非常災害の応急措置、通常の管理行為・軽易な行為及び都市計画事業の施行のときは許可を受ける必要がなく、これらを指します。又、国及び地方公共団体は協議をすればよく、許可を受ける必要はありません。
[問19]の肢の1
○正しい。一定の場合を除きとは、次の①②の場合で、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可した場合を指します。
① 敷地の周囲に広い公園・広場・道路等の空地があり、低層住宅の良好な環境を害するおそれがないと認める場合
② 学校等の建築物でやむを得ないと認める場合
2. 田園住居地域はなぜできたのですか?どんな地域ですか?
田園住居地域は、農業の利便を図りつつ、これと調和のとれた低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされています。都市郊外の住宅もある田園地域で、当該地域及びその周辺地域で生産された農産物直売所や農家レストラン、農家カフェを建築できるようにするためのものです。農産物の販売を主たる目的とする店舗や農産物を材料とする料理の提供を主たる目的とする飲食店の建築ができるようになります(2F以下でその用途に供する部分の床面積が500㎡以内で建築できます)。その他、農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するものや農業の生産資材の貯蔵に供するもののほか、第2種低層住居専用地域で建築できるとされているものを建築することが可能です。
3. 田園住居地域の建築制限は準住居地域に準ずるのでしょうか?
田園住居地域は、都市計画法では準住居地域と近隣商業地域の間に位置づけされております。そうしますと、建築基準法による建ぺい率等々の建築制限は準住居地域に準じた制限になっていそうですがそうではありません。
上記の今年の宅建士資格試験問題に出題された建築物の高さ制限のほか、建ぺい率・容積率制限、日影規制、外壁の後退距離の制限、2.で記載した建築物の用途以外の用途制限等の制限は、(第2種)低層住居専用地域における建築制限と同じになっております。
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