今年の宅建士試験の合格点はなぜ37点に?
1. 宅建士試験は競争試験です。
現在の宅地建物取引士資格試験は、単なる資格試験でなく、競争試験になっております。
以前は(昭和の時代)はまさに資格試験で、一定成績以上の人はみんな合格しておりました。合格点(合格ライン)は上下しないで、合格者数に変動がありました。
試験問題が易しい年は合格者数が多くなり、試験問題が難しい年は合格者数が減少しておりました。合格ライン(合格点)は一定で、合格者数が変わっていたのです。
従って、年度により合格率が上下しておりました。受験者数の増減による合格者数及び合格率の変動も当然ありましたが、試験問題が難しい年は合格率が下がり、易しい年は合格率が上がっておりました。
それが、平成になってから合格率はほぼ一定で、合格点(合格ライン)が上下するようになったのです。
すなわち、一定率の中に入りませんと、多少得点が良くても不合格になるようになったのです。
今や、宅建士の資格試験は完全に競争試験になっているといえます。
2. なぜ、宅地建物取引士の資格試験は競争試験になったのでしょうか?
それは、ずばり宅地建物取引士のレベルアップが目的です。
建設省の時代から不動産業界の質の向上、レベルアップが課題となり、宅地建物取引士の質の向上、レベルupが目標とされてきました。
試験問題が易しくても一定の得点をすれば合格できますと、その分レベルが低くても宅建士試験に合格することになり、宅地建物取引士の質の向上・レベルupになりません。
そこで、試験問題が易しい年は合格ラインを上げるようになったのです。
言い換えますと、一定の倍率の中に入らないと合格できなくなりました。
宅建士試験の近年の合格率は約15%~16%(29年・30年とも15.6%、28年・27年とも15.4%)で、約6倍強の倍率です。
ちなみに合格点(50点満点での合格ライン)は、30年37点、28・29年35点、27年31点、22・23年36点、7年28点でした。
3. 受験者全体のレベルが上がっています。
一定の成績を取れば当然合格するのでなく、競争がある方が受験者全体がより勉強するようになり、より全体のレベルが上がり、合格者のレベルも上がります。
今年の宅地建物取引士の試験問題も、最近の試験問題の中では易しい方ですが、以前に比べますと相当ハイレベルです。合格ラインが上がったのは、受験者全体のレベルが上がっているからです。
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